棄てられない「負動産」

所有不動産は、いらないからといって権利書をゴミ箱にポイと捨てれば終わりというものではありません。
民法では物件や債権は自らの行為で自由に権利を放棄できるものとされていますが、土地などの不動産所有権の放棄については規定がありません。

土地や建物の権利書を持っているかいないかに関わらず、法務局にある登記簿謄本の所有者欄に名義が記載されている限りは、その人物は所有権利者として扱われます。
名義を変更する手続きをとることによってのみ所有権が移転するので、所有権利者としての自分から逃れようと思うと、売買や贈与であれ、遺贈するにせよ、とにかく相手方を見つけて名義を変更する手続きをとらなければなりません。

所有している不動産を売却することができればいいのですが、それができない場合は特に問題です。
不動産にも一般的流通市場があります。その不動産にそれなりの価値や有効利用できるところがあれば、自ずと需給相場が動き出して価格が決まり、売買成立となります。しかし、その不動産に市場価値が全く無くない場合はどうするかという点が問題なのです。

これからの市場は、不動産の収益性から価値を判断して取引される時代です。
“不動産の大安売り”と銘打って売却価格を1円としても、利益の生まない不動産である他に所有権移転登記費用や取得税、固定資産税等、後の不動産の管理の責任があるとなれば買主は現れない上に“棄てる”こともできないのです。

この棄てられない不動産の問題は、あの九州全土の面積にも及ぶという所有者不明土地問題にも大きく関係しているのではないかと思います。
→不動産の予備軍?
所有者不明土地となっている不動産は、その時の相続人が、例えば分割協議の煩わしさであるとか、そこから発生する費用負担や管理者責任の重さから、正当な相続手続きをしないで放置し、それが二代三代四代と続いてしまったというところでしょうか。
もし所有権放棄という手段があれば相続時にそれを望んだかも知れません。
しかしながら、不動産は簡単に“棄てる”ことができないのです。

現在、接道がないものや境界の不確かなもの、宅地化が見込めない山林、災害マップで危険とされる位置にある等、管理面で負担となっている不動産は、今後、ますます「負動産」化していきます。

残念ながら、今のところ国や地方自治体もその移転(寄附等)の相手方にはなってはくれそうにもありませんので、そうした不動産は早く処分した方が得策です。

これからの時代は今後ますます“棄てられない”「負動産」の問題が大きくなっていきます。しかし、公的な解決策が見出せないので、いち早く対処していくことが重要となります。
そこで弊社のような専門化チームが、様々な対処方法を、今のリアルな姿を示して、具体的にご協力させていただきます。
ぜひお早めにご相談ください。